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『大衆食堂の研究』復刻HTML版          エンテツ資料棚『大衆食堂の研究』もくじ


思えば…編*田舎者の道

*五、田舎者は食堂へ行け*

  東京の食堂を継承することは、東京に田舎者の自立心と野性をつなげることなのである。
  島崎藤村は言った。だからどうしたというんだ。まあきいてくれ。
  島崎藤村は言った。
  「ロダンに言わせると、『大都市は墓場である』のだ。『人間はそこに生活してはいない』のだ。しかし、現に都会に居住しつつあるものにとっては、ただそれだけでは済まされない。何とかしてこの都会の澱みやすい空気の中に若葉青葉のような生気をそそぎ入れなければならない。その更新を持ち来すものは、何時の場合にも地方人の気魄と野性とではないだろうか。」
  こうやって、藤村の言葉あたりで終わると、おれのいうこともすこしは格調がでるだろうか。
  だけど、おれは、田舎者の自立心や野性は、そんなに若葉青葉みたいなもんだとはおもっていない。もっといかがわしいのだ。だから墓場で、したたかに生きていけるのである。
  しかし、食堂に田舎者の生気が必要になっているのはたしかだ。ファミリーレストランあたりでキレイゴトしている連中の死臭はよほどのものだし、その死臭は好きでも、食堂の田舎くささをきらうやつがいる。おれは藤村のように都会を更新する必要なんてないし、東京なんてつぶれていいとおもっているが、食堂だけは元気をつけたい。だから、こういって終わるのだ。
  東京の田舎者、食堂のめしをくえ。


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